コラム

さくらんぼ教室だより(代表)

さくらんぼ教室

2023.06.01

性暴力を許さない 🍒だより2023-06月号

〇「子どもが教師から性暴力被害を受けました」

子どもたちを守るはずの学校で、「教員から体を触られた」ことを訴えた生徒さんがいます。毎日通う学校で子どもが被害に遭ったら、どうしたらよいのでしょう。「同じ思いをする子が出ないように」と被害生徒さんの保護者の方から情報提供をいただきましたので、教室保護者の皆様と共有させていただきます。

 

〇事件は特別支援教育の場で起きた 

性暴力は特別支援教育の授業中に担当教員によって行われたといいます。「学習に集中できる環境をつくる」目的のパーテーションが「死角」となったのです。被害生徒さんは信頼していた教員からの暴力に声をあげることもできず、どれほど怖い思いをしたことでしょう。

 

〇学校が守ってくれない 

被害を知ってすぐ学校に出向いた保護者に、学校は終始「教師本人は否定している」「そんなはずはない」「ご本人の思い違いでは」というばかりで迅速な対応や調査は行われませんでした。特別支援教育を実践する学校の先生方の「発達障害がある子の訴えは信じられない」という対応は、親子を二重に傷つけました。「ちゃんと謝ってほしい」という被害生徒の切実な訴えは叶わず、市町村教育委員会、警察、都道府県教育委員会や関係相談機関、どこに訴えてもたらい回しのような対応が続いたのです。

 

〇「悪いのは自分かもしれない」 

「もしかしたら自分が悪かったのか」「お母さんに話したら怒られるかも」そんな不安から、ご本人はしばらく事件のことを誰にも話せませんでした。ようやく家族に話せた時「よく言ってくれたね」というお母さんの一言にほっとした顔をしたそうです。一方で心の傷は深く、学校に行けない期間や不安定な言動が続きました。月日が経過した今でも、心の中にはその痕跡が残っています。

 

〇子どもたちのために 

経緯の詳細は省きますが、保護者は今も正しい調査と対応を求めて訴えを続けながら少しずつ前に進んでおられ、そのことがお子さんの心の回復を支えています。「被害を受けた事実は消えないが、親が味方になってあきらめずに行動することが本人の癒しの一つになる」と。また何かあった時には「お世話になっている学校だから」とためらわず「すぐ対応する」「やり取りを音声で残す」こと、また「日頃から家庭で『何か嫌なことがあったら小さなことでも言ってね』と話しておく」「子どもの話を誘導せずにゆっくり聞く」ことも大事だといいます。

 

〇多くの子どもたちが楽しく通っているはずの学校でこのような事件が起きることを防ぐために、昨年4月「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が施行されました。学校で(職場でも)子どもたちの心や体、人権が傷つけられることがあってはなりません。もしもの方が何か「おかしいな」と感じたら、お子様と話をしたり、学校や信頼できる誰かに相談したりしましょう。さくらんぼ教室でお力になれることがあればいつでもご相談ください。

(伊庭葉子)