2019.05.01
「多数派」「少数派」に優劣はない 🍒教室だより2019-05月号4月13日、市川市自閉症協会主催・本田秀夫氏(信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授)講演会「自閉症スペクトラムの理解と支援 ~それぞれのライフスタイルに応じた支援~」に新入社員2人と一緒に参加させていただきました。「感覚」(視覚情報に強くひかれる、過敏さがある等)や「感情」(想定外の事態に感情が揺さぶられる等)、「認知」(推察することや想像することの苦手さ等)、「記憶」(興味があることは細部にわたって記憶する等)などに「多数派」の子どもたちと少しちがう特性をもつ「少数派」の子どもたち。その発達の多様性が尊重される「育ち方」がいかに大切か、具体的なエピソードとともに伝わるとても楽しい講演会でした。
本田先生はお話の中で、育ち方の4タイプとして「特性特異的教育」「放任」「過剰訓練」「自主性過剰尊重」をあげられました。保護者や周囲の大人が目標にしたい環境はもちろん、一人ひとりの個別課題に即して学ぶことができる「特性特異的教育」タイプ。「興味をもってできる」「少しがんばればできる」「一人ではできないけれど教えてもらえばできる」ような目標・課題の設定がポイント。学校教育の一定のカリキュラムだけを優先して子どもの方を合わせようとすれば、どこかに無理が生じるということですね。
また「選好性」(何をより好むのか)という印象的なキーワードも。本人が大好きで大切にしている(マニアックな!)世界が、多数派の文化と少しちがう趣向であっても、それを大切にし大切にされることが「健康でハッピーな生き方」につながるということ。さくらんぼ・社会人クラスの、趣味を極め、趣味を通して交流を広げている人たちを思い浮かべれば、うん、うん、ととても頷けます。
先日長く通った社会人クラスのA君が一般就職を目指すのでしばらくお休みすることになり、「どうぞ書いてください」と自ら色紙を持参、みんなで応援メッセージを書かせていただきましたが、これって、なかなかよいアイディアですよね。「マニア」「オタク」と「こだわり」、「うっかり屋」と「不注意」、「苦手」と「不器用」・・・いずれも境界線のないスペクトラム(連続体)。ちょっと困ることもあるけれど、見方を変えればすごく素敵!そんな世界をさらに深めたい方には、本田先生の近著『発達障害~生きづらさを抱える少数派の「種族」たち~』(SB新書)がおすすめです。
さて「令和」。社会人クラス(東京教室)のみなさんは、「令和」は「仕事が頑張れる」「争いがない」「楽しく過ごすことができる」社会になると話していました! カラフルな個性を尊重し合う平和な新時代となりますように。 (伊庭葉子)
「一人ひとりの世界」を大切に!