2023.08.01
「ぼくの作家図鑑」文学を愛する 🍒だより2023-08月号〇「先生は坂口安吾を知っていますか?どんな作品を読みましたか?僕は・・・」
会うといつも文豪愛を語ってくれる、ペンネーム丸背留符流巣戸(マルセル・プルスト)君こと本八幡本部教室の高校生(以下マルセル君)。今月は、日本とロシアの文学作品を次々と読破し、文学と生きた文豪の軌跡を『僕の作家図鑑』にまとめている高校生をご紹介します。
〇読書のきっかけは中学の授業で出会った『走れメロス』(太宰治)。
「メロスから情熱を感じた」そうです。高校生になって自分から本を読むように。最初に選んだ『こころ』(夏目漱石)は「まずマンガで読んでから本に突入しました」。恋愛をめぐる複雑な心情やハッピーとはいえない話をどう感じたのか聞いてみると、「僕はKの気持ちがよくわかりました」「(悲しい別れも)こういうこともあるんだと受け止めています」とのこと。彼の心は私が思っていたよりずっと成長していました。
〇最初は1冊を読むのに数か月かかったそうです。
読むペースはどんどんスピードアップし、現在は1~2週間に1冊の読書ペース。自分で買ったり図書館で借りたりして読んできた本は102冊を超えました。『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』(フョードル・ドストエフスキー)などの超大作も「ちゃんと読んでますよ。内容もわかっています」と、文学についてもっともっと語りたいマルセル君。「文豪が好きで、物をつくることが好きだから」、オリジナル「作家図鑑」も編纂中。福沢諭吉、森鴎外、谷崎潤一郎、三島由紀夫・・・文豪たちの作品と生涯が似顔絵とともに収められた、実に味わい深い図鑑です。
〇さくらんぼ教室との出会いは就学前。
文字の読み書きは時間をかけて習得しました。当時は車や電車が大好きで、絵本はあまり読んでいなかったそうです。「最初は彼に文学作品はわかりにくいのでは?と思いました。でも読めない漢字や難しい表現があってもアウトラインはつかんでいる。本の味わい方は色々で、本人が楽しく読めればそれでいいんですね」(お母様)。マルセル君の次の目標は、長編『失われた時を求めて』(マルセル・プルースト/仏)を読むこと。卒業後はお仕事に就く予定ですが、これから先もずっと読書は彼の心を豊かにしてくれることでしょう。
〇「大好きでずっと続けたいこと」・・・
どの生徒さんにもいつか出会ってほしいと思います。皆様、素敵な夏をお過ごしください。
(伊庭葉子)