2020.08.01
祝・30周年その1柳家花緑師匠はしゃべることの天才!🍒教室だより2020-08月号●落ち着きのないことで目立っていた幼稚園時代。先生に「お宅はどういう教育をしたんでしょうか」と言われた母。小学校時代のあだ名は「バカな小林くん」。読み書きが苦手だから、教科書が読めないし黒板に書かれたことをノートに写すこともできない。一番つらかったのは授業中に「何ページの何行目から読みなさい」と立たされるとき。必死に一文字ずつ追ってもつっかえつっかえ、緊張してますます読めない小林くんをクスクス笑う級友。「自分はバカなんだなぁ」と自分のことをあきらめ、「授業がさっぱりわからないので、ついしゃべったり、よそごとをしてしまう」。でもそんな「授業妨害の問題児」小林くんは、毎日学校に行っていました。しゃべりたかったから。しゃべるのが大好きだったから・・・。
●「バカな小林くん」は、スピード感溢れる歯切れのよい口調で人気の落語家・柳家花緑師匠の子ども時代です。中学卒業後に祖父・五代目柳家小さんに入門、戦後最年少の22歳で真打に昇進し、今や落語はもちろんテレビや舞台でも幅広く活躍中。
40歳をすぎてから「発達障害」(識字障害/ディスレクシアとADHD)」だとわかり、2017年に公表されました。それを聞いた春風亭小朝師匠は「よかったねえ、政治家になれるじゃないか」と。「多様性の時代のシンボルになれる」という意味だったようです。さすが!
●花緑師匠ってどんな方? 初めて高座に伺ったのは、昨年秋。演目は「紺屋高尾」という人情噺でした。吉原の花魁・高尾に一目惚れをした染め物職人・久蔵の誠実で美しい心と一途な思いが溢れる言葉と語り口調から伝わってきて、花緑師匠の熱演と落語という芸能の力に圧倒されました。そして「しゃべることが大好き」を極めた花緑師匠の語りを、ぜひさくらんぼ教室の皆さんと一緒に聴きたい!と思ったのが、30周年記念イベントにお招きすることになったきっかけです。師匠からも「子どもたちの役に立てるなら」とご快諾をいただきました。
●そして、コロナ禍。10月に有楽町よみうりホールでどう開催するか映像配信も含め検討中ですが、どんな形にせよ、花緑師匠とともに多様性の素晴らしさを伝えるイベントにしていきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
(伊庭葉子)
『僕が手にいれた発達障害という止まり木』(柳家花緑著/幻冬舎)より一部引用